外国産馬の位置づけ
ゴスホークケンの朝日杯FS制覇、アポロドルチェ、ダノンゴーゴーの活躍など勢力を盛り返しつつある外国産馬。取捨の難しいマル外の選び方を海外競馬通として、おなじみの合田直弘が伝授!
日本における外国産馬の勢力は、90年代半ばをピークとして、質量ともに「右肩下がり」で推移している。
輸入頭数で言えば、競馬を使うことを目的に日本に輸入された外国産馬が最も多かったのが1997年で、頭数は453頭。エルコンドルパサー、グラスワンダー、アグネスワールドといった超大物外国産馬が競馬場で鮮烈なパフォーマンスを披露する、ほんの少し前のことである。
それから10年が経ち、2007年に競走目的で輸入された外国産馬の数は182頭。ピーク時の約4割に減少した。
一方で、同じ10年の間に日本産馬の水準が大きく向上したことも明らかで、当然の帰結として、競馬場における外国産馬勢力の極端な衰退という結果を招いている。
NHKマイルCというレースを例にとれば、従来のNHK杯から衣替えして2年目の97年は、出走馬18頭のうち実に3分の2の12頭が外国産馬で、結果も外国産馬による1、2フィニッシュだった。ところが10年後の07年、同じレースの出走馬18頭のうち14頭は日本産馬と、両者の立場は完全に逆転。結果も上位3着まで日本産馬が占めることになった。
ところが、市場においても競馬場においても、わずかながら潮目が変わり始めたのが、ここ1年余りのことである。
例えば今年、3歳の春の段階でアポロドルチェ、ゴスホークケン、ダノンゴーゴーと、外国産馬の重賞勝ち馬が3頭出現。久々にマル外が存在を主張する年となっている。
背景にあるのはアメリカ経済の失速で、一般景気の冷え込みとともに競走馬市場も低迷。上の方の価格帯が、景気の動向とは無関係のスーパーセレブたちの投資で依然として賑わっている一方で、中間以下の価格帯が市場におけるプレイヤー不足を露呈。マーケットの構造で言えば、10万ドルから20万ドルのレンジで、良質馬がリーズナブルな値段で提供される状況が、ここ1年ほど全米各地のせり市場で展開されているのである。
一方で、我が国も依然として景気基盤が不安定で、外国市場における日本人購買は10万ドルから20万ドルあたりの価格帯になることが多く、上記3頭の外国産馬で言えば、アポロドルチェはバレッツマーチで10万ドルで購買された馬だったし、ゴスホークケンはOBSマーチで16万ドルで購入された馬であった。
つまりは、90年代半ばとは比較にならないものの、1、2年前と比べれば、良質の外国産馬が数多く日本へやってくる環境が、ここへきて出来上がりつつあるのだ。
さらに言えば、上記3頭の外国産馬はいずれも、北米で行われた2歳トレーニングセールの出身馬である。大挙して押し寄せた時代を経て、日本人の間で購買のノウハウが充分に蓄積されたのが2歳セールだとしたら、当たりの出る確率が高いのも道理である。
というわけで、今季のPOGにおける外国産馬は、「北米2歳セールで、10万ドルから20万ドルの間で購買された馬を狙え」が戦略となる。具体的に言えば、ファシグティプトンコールダーで18万ドルで購買された父Unbridled's Song(アンブライドルズソング)、母Wanda's Dream(ワンダズドリーム)の牝馬や、同じ市場で13万5千ドルで購買された、父Yonaguska(ヨナグスカ)、母Etoufee(エトゥーフィー)の牝馬。バレッツマーチで14万ドルで購買された、父Trippi(トリッピ)、母Meteoric(メテオリック)の牡馬らがこれに該当する馬たちで、お薦めの掘り出し物候補と言えそうである。
- 注目馬
-
牝 母 Wanda's Dream(母の父 Miswaki) 父 Unbridled's Song 牝 母 Etoufee(母の父 タバスコキャット) 父 Yonaguska 牡 母 Meteoric(母の父 Pentelicus) 父 Trippi - ※左から性別、母名(母の父)、父名
ライタープロフィール
-
- 合田直弘
- NHK衛星放送「世界の競馬」解説、グリーンチャンネル「レ−シングワ−ルド」の解説など海外通として知られる。netkeiba.comでもコラム「世界の競馬」を連載中。
