netkeiba.com > netkeibaPOG > 赤本情報 > イケてなかった馬列伝レジェンド

イケてなかった馬列伝レジェンド

様々な要素からPOGファンは馬を選ぶが、ネタ馬になることも決して少なくない。ここでは、そんな記録よりも記憶に残る馬をご紹介。暖かい心で読んでいただけると幸いです。

過去のイケてなかった馬の中から「イケてなかった度」の高い馬を30頭ほど挙げてくれとのことだが、考えてみると、私が最初のPOG本を出したのが1995年。しかもそれ以降の本のうち2冊が手元に無い。ということは、ひとつの年度から3頭ペースで選んでいかなければならないということになる。

また、イケてなかった馬にも知名度の高低があったりすると思うが、赤本に掲載されていた馬で、かつ私がこれは走ると推していた馬を優先します。

※成績は各年日本ダービー終了時点のものです。

文・須田鷹雄

1993年生産馬(1996年クラシック世代)

栗東坂路で53秒台をマークして大物と騒がれ…

タヤススリリング 7戦2勝
父:
スリルショー
母:
ミルセイウン(母の父:ミルジョージ)

1993年産 牡 厩舎:栗東・山内研二厩舎

坂路で好時計を出してドラフトで人気になったのにイマイチ…という記憶が残っている人は多いだろうが、振り返ってみれば期間内2勝でオープン特別2着もある。昔のPOGはチョロかった(人気馬の走る度合いが高かった)ので、クリアすべきハードルも高かったのだ。ちなみに、人気の原因になった「好時計」は栗東坂路で53秒。いまだったらゴロゴロいるよね。これも時代ですな。

タニノシスター 12戦2勝
父:
ルション
母:
エナジートウショウ(母の父:トウショウボーイ)

1993年産 牝 厩舎:栗東・森秀行厩舎

これも2勝馬で桜花賞にも出たが、「抽選馬にモノすごいのがいる」と評判になりすぎた感も。当時指名していた皆さん、娘のウオッカは指名できましたか?

アグネスタカオー 1戦1勝
父:
サンデーサイレンス
母:
アグネスフローラ(母の父:ロイヤルスキー)

1993年産 牡 厩舎:栗東・浜田光正厩舎

アグネスフローラの初仔。ダービー2週前にデビュー(一応出たとこ勝ち)。当時、浜田光正厩舎というのは「全然アリ」というファクターだった。で、この馬、休養挟んで小島太厩舎に転厩したのである。厩舎にも栄枯盛衰ありだ。

1994年生産馬(1997年クラシック世代)

“金の卵”サンデー産駒を取ってもPOGはつらいよ

ビバカーリアン 5戦0勝
父:
Caerleon
母:
リンダスト(母の父:Lyphard)

1994年産 牡 厩舎:栗東・伊藤雄二厩舎

イケてなかった列伝の象徴的存在というか、「逆にこの馬なくしてペーパーは語れねえよ」的な存在。「主な勝ち鞍:三石こんぶ特別@門別競馬場」というネタだけでも10回は書かせてもらった。

サクラワクセイオー 未出走
父:
ドクターデヴィアス
母:
サクラハツユキ(母の父:マルゼンスキー)

1994年産 牡 厩舎:美浦・小島太厩舎

この辺りを知っているようならかなり長キャリア+通なPOGファン。父ドクターデヴィアスが母サクラハツユキ、そして小島太厩舎で未出走。サクラ○○○○オー全盛時代を知らない人には分かりづらい1頭か。

プレストサンデー 3戦0勝
父:
サンデーサイレンス
母:
ジャニス(母の父:メンデス)

1994年産 牡 厩舎:美浦・矢野照正厩舎

とにかくSS固めというのはSS産駒2世代目からあった(この馬は3世代目)ので、地雷を踏む人も多かった。この馬は重賞馬ジャニスの仔ということで人気だったんだよねえ。懐かしいね、ジャニス。

キングフラダンス 1戦0勝
父:
サンデーサイレンス
母:
ダンシングキイ(母の父:Nijinsky)

1994年産 牡 厩舎:美浦・小島太厩舎

腰フラなのでこの馬名になった母ダンシングキイの産駒。一つ上の兄がダンスインザダーク。これ以降、どうも馬名を邪推する癖がついてしまっていかん。黎明期の小島太厩舎を象徴する1頭。

ステイゴールド 6戦1勝
父:
サンデーサイレンス
母:
ゴールデンサッシュ(母の父:ディクタス)

1994年生 牡 厩舎:栗東・池江泰郎厩舎

後の人気者にしてGIホースも、POG期間はかなりの食わせもの。POGでイケてなかったところから大逆転で重賞級に…というケースはけっこうあり、後には同世代にアドマイヤボスとフサイチソニックがセットで、なんてこともあった。

ジンガロ 5戦1勝
父:
サンデーサイレンス
母:
マガロ(母の父:Caro)

1994年産 牡 厩舎:栗東・池江泰郎厩舎

ダービー馬タヤスツヨシの全弟ということで相当人気になった。当時は日本人のほとんどが本家ジンガロを知らない時代でしたな。一応期間内1勝はしているので念のため。ちなみに今はフィリピンで種牡馬をしております。

1995年生産馬(1998年クラシック世代)

選んだ人は自慢したい!?遅すぎたブレイクに涙

ミラクルアドマイヤ 1戦1勝
父:
トニービン
母:
バレークイーン(母の父:Sadler's Wells)

1995年産 牡 厩舎:栗東・作田誠二厩舎

10年たった今でも、「良く見える馬が走ってくれるとは限らない」という話で例に挙げられる馬。種牡馬として成功することにより、指名者の相馬眼を証明してくれた稀有な例。

セイントストーム 未出走
父:
Storm Cat
母:
Sahara Forest(母の父:Green Desert)

1995年産 牡 厩舎:栗東・大根田裕之厩舎

プレミアセールで取引されて、なぜかドラフトで超絶人気に。まあ、私の作ってた本の競合誌が推したからなんだけど…結局未出走。プレミアセールも今は無いし、この馬を上場した早田牧場も今は無い。

1996年生産馬(1999年クラシック世代)

重賞2着も悪くはないが弟はダービー馬に輝いた

チョウカイリョウガ 5戦1勝
父:
サンデーサイレンス
母:
ポインテッドパス(母の父:Kris)

1996年産 牡 厩舎:美浦・中野隆良厩舎

一応期間内に京成杯(GIII)2着してるんですけど…。まあ、私がゴリゴリに推してたので馬がとやかく言われることになった。申し訳なかったっす。馬も最後にはオープンに上がって、弟のネオユニヴァースはダービーを勝って、よかったよかった。

クィーンヘイロー 7戦0勝
父:
トウカイテイオー
母:
グッバイヘイロー(母の父:Halo)

1996年産 牝 厩舎:栗東・高橋成忠厩舎

キングヘイローのすぐ下。この時期は「超良血繁殖牝馬」がよく話題になって、みんな痛い目見たね。レディーズシークレットとか、ブルーウインドとか…。

1997年生産馬(2000年クラシック世代)

戦績はきれいに忘れても馬名を聞けば思い出す

イデム 5戦0勝
父:
Silver Hawk
母:
ゲインザー(母の父:Turkoman)

1997年産 牡→セン 厩舎:美浦・大久保洋吉厩舎

詳細を覚えていなくても、「いたね〜」という記憶だけはあるタイプの馬。当時はSilver Hawkの文字だけでテンション上がりまくりだったのよ。

マクシミリアン 3戦0勝
父:
サンデーサイレンス
母:
ジェドゥーザムール(母の父:Top Ville)

1997年産 牡 厩舎:美浦・松山康久厩舎

1995年愛ダービー馬Winged Loveの下! しかも父サンデー! そして未勝利! ジェドゥーザムールは当たり外れが極端なのよね。今年の2歳(カレンミラバッシ、牡、父シンボリクリスエス)に関わっているだけにドキドキですわ。

1998年生産馬(2001年クラシック世代)

母ファデッタに魅せられた人々の悲劇が始まる

アドマイヤセレクト 7戦1勝
父:
サンデーサイレンス
母:
ファデッタ(母の父:Fappiano)

1998年産 牡 厩舎:栗東・橋田満厩舎

この馬もみんなの記憶に残っている度合いはかなり高いはず。一応青葉賞(11番人気9着)にも出ました…セレクトセールが始まってから「共通認識のあるイケてなかった馬」が増えたような気がしますね。

アンダーマイサム 3戦0勝
父:
ラムタラ
母:
メローフルーツ(母の父:Haro)

1998年産 牡 厩舎:美浦・藤沢和雄厩舎

父ラムタラ、母メローフルーツでデビューは藤沢和雄厩舎。「ラムタラが日本に来た頃」を思い出させてくれる1頭。

1999年生産馬(2002年クラシック世代)

馬選びのプロにもこんな時代があったんです…

トーセンハミング 未出走
父:
サンデーサイレンス
母:
ファデッタ(母の父:Fappiano)

1999年産 牡 厩舎:美浦・稗田研二厩舎

これ1頭でトーセンの冠号イコール「ペーパーで取っちゃいけないもの」と皆に刷り込まれてしまった感が。今年走ったトーセンキャプテン(アーリントンC優勝)、トーセンマーチ(青葉賞2着)らの活躍でそろそろ呪いも解けたようだが。ちなみにこの馬、初勝利は姫路だった。

アグネスプロトン 3戦1勝
父:
エリシオ
母:
アグネスフローラ(母の父:ロイヤルスキー)

1998年産 牡 厩舎:美浦・藤沢和雄厩舎

アグネスフローラよすまん! もう1頭登場させてしまった。この馬の父はエリシオ。アンダーマイサム同様、時代を感じる。そしてこの馬の記憶が、今年皆をファルブラヴに対して疑心暗鬼にさせているのだ。

カレンバレリーナ 未出走
父:
サンデーサイレンス
母:
シアラスダンサー(母の父:Gate Dancer)

1999年産 牝 厩舎:栗東・安田隆行厩舎

「安田隆行厩舎に評判の牝馬が3頭いて全滅だった年ってあったよね」と言うと話が通じる人は多いはず。そのうちの1頭。ちなみに今、須田とホンモノオーナーは親しくさせていただいております。

フサイチイチロー 6戦1勝
父:
サンデーサイレンス
母:
シャンクシー(母の父:Zilzal)

1999年産 牝 厩舎:栗東・森秀行厩舎

いまだに母シャンクシーといえば「フサイチイチローの母」だよねえ。イケてなかった馬もイメージばかりが残る血統というのは確実にあるね。

サルトリア 7戦0勝
父:
サンデーサイレンス
母:
ファッションショー(母の父:ノーザンテースト)

1999年産 牡 厩舎:栗東・山内研二厩舎

山内研二厩舎は計算が立つということで指名してるので、コケるとダメージがデカく印象にも残る。ちなみにこの馬、加藤征弘厩舎に転厩して勝ち上がり、同厩舎が同馬の生産牧場である社台ファームで重要な地位を占めるきっかけになった。

ベラジョルナータ 未出走
父:
Afternoon Deelites
母:
Lindsali(母の父:Two Punch)

1999年産 牝 厩舎:栗東・松田国英厩舎

馬名は思い出せないけど「フロリダ組で人気になった母Lindsali」といえば思い出すという人もいるかも。オーナーは金子真人氏。ドラフト時期には“女クロフネ”と呼ばれたりもした。

ピタゴラス 1戦0勝
父:
サンデーサイレンス
母:
バレークイーン(母の父:Sadler's Wells)

1999年産 牡 厩舎:栗東・松田国英厩舎

GI馬の下というのも毎年やっかいですなあ(この馬は母バレークイーン)。キングカメハメハやディープインパクトが走ったので無闇に金子馬を支持する人も現れているが、この馬やキーファクター(牡、父:サンデーサイレンス、母:パンパードスター)やミステリアスアート(牡、父:サンデーサイレンス、母:ファデッタ)のことも忘れないでほしい。

2000年生産馬(2003年クラシック世代)

デビュー前に海外挑戦を表明したら注意せよ!?

ダンシングオン 7戦1勝
父:
サンデーサイレンス
母:
ダンシングキイ(母の父:Nijinsky)

2000年産 牡 厩舎:栗東・森秀行厩舎

この辺りからいよいよ現役馬も入ってくる。募集価格2億円のクラブ馬(1口500万!)。そして現在は賞金による回収より「騎手の乗り替わり記録」を追求している。外国人騎手が来日すると絶対乗せるしね。

カーム 未出走
父:
サンデーサイレンス
母:
フランクアーギュメント(母の父:Argument)

2000年産 牡 厩舎:栗東・中村均厩舎

2000年のセレクトセールで当時史上2位の3億2000万円で岡田繁幸氏が落札。その後、史上もっともダイナミックな育成中の故障となった馬だが、高馬でも楽はさせないということで、ある意味、岡田氏は男を上げたような気も。岩手に転出後活躍、現在は種牡馬になった。

マイネルエクソン 8戦0勝
父:
Skip Away
母:
Degenerate Gal(母の父:Degenerate Jon)

2000年産 牡 厩舎:美浦・田村康二厩舎

マイネルの冠号からはどれを選ぼうかと悩んだのだが、これを選んでみた。Skip Away産駒なのに英国ダービー挑戦をぶち上げた馬ね。あと、マイネルといえば「ダービーを勝つ予定の馬が4頭」という年もあった。

ツムジカゼ 1戦0勝
父:
Storm Cat
母:
Nannerl(母の父:Valid Appeal)

2000年産 牡 厩舎:栗東・松田国英厩舎

現在はダートのオープンクラスで活躍中だが、POG期間はけっこうイケてなかった。フロリダ信仰に終止符を打った馬。

2000年生産馬(2003年クラシック世代)

何度味わっても忘れてしまう晩成タイプの恐さ

フサイチドナイト 3戦0勝
父:
Kris S.
母:
Key to My Heart(母の父:Mr. Prospector)

2001年産 牡 厩舎:栗東・松田国英厩舎

馬名に番組名をつけるのって、けっこう諸刃の剣だよね…。この馬は中央未勝利のあと、まさかのアメリカ転出。学校辞めて留学、みたいな感じか。

レゴラス 3戦1勝
父:
サンデーサイレンス
母:
カーリング(母の父:Garde Royale)

2001年産 牡 厩舎:美浦・加藤征弘厩舎

最近ぼちぼち出世してきたが、晩成の予感がストレートに的中した典型的な例。今年の2歳(牡、父シンボリクリスエス)も期間内は厳しいんじゃないっすかね…。

以上、ランダムに思い出してみたが、重要な馬を忘れているような気もする。一度、みんなで「あの馬がいただろ」みたいな投票をしてみるといいかもしれん。

最後に、別冊宝島から出版したPOG本に「ブーム以前のイケてなかった馬」がたくさん掲載されていたので、馬名だけでも挙げておこう。

GI馬の兄弟では、キャッチユアアイ(父:ノーザンテースト、母:ユアースポート、日本ダービー馬ダイナガリバーの妹)、スキーナ(父:ノーザンテースト、母:ジュウジアロー、皐月賞馬ダイナコスモスの妹で井崎センセの一口)、メジロマーリン(父:モガミ、母:メジロヒリュウ、メジロラモーヌの妹)、サクラユタカヒメ(父:ジュニアス、母:アンジェリカ、天皇賞馬サクラユタカオーの妹)。

その他、印象深いのは、モンテテイオー(父:シーホーク、母:モンテオーカン)、メジロサージェント(父:リアルシャダイ、母:メジロビューティー)、ゴルギアス(父:マルゼンスキー、母:ホウヨウクイン)、ガンビット(父:Alysheba、母:スレッジ)、サクラコクサイオー(父:サクラチヨノオー、母:ホッカイミサキ)、ビワビーナス(父:トニービン、母:パシフィカス)…すべて良い思い出です。

ライタープロフィール

  • 須田鷹雄
    1970年東京生まれ。競馬ライター・評論家として活躍中。POG好きで知られ、自ら監修を務める“赤本”はPOGファン必携の書と言われている。
    須田鷹雄

ターファイトクラブ