須田さんのひとりごと
かつてはクロフネ、スピードワールド、近年ではフライングアップルなどこれまで数多くの活躍馬を輩出したファシグティプトン・コールダーセール。早い時期からポイントを稼ぐだけではなく、大レース制覇も期待できることからPOGファンの注目度も高い。そんなセールの最新情報を、須田さんが現地からお伝えします。
第20回 今年の指名でも見逃せない!2歳海外セール最新事情
いよいよPOGも新年度の話をするタイミングになってきた。
米・フロリダ州・コールダー競馬場で行われるファシグティプトン・コールダーセールの直前にこの原稿をホテルで書いている。間もなくセリ場に行くところだ。
今年は日本人の購買馬が少ないことになりそうで、また個別の馬の評価については赤本までのお楽しみということにしなくてはならない。そこで今回は「海外セールの結果の見方」についてコツをお教えすることにしよう。
セリ結果というとどうしても購買者や調教師を見てしまうが、それだけでは十分ではない。セリ経験が豊富なバイヤーに注目することは理にかなっているが、「売る側」=コンサイナーにも注目すると、さらに推理は楽しくなってくる。
まず単純なところでは、日本人バイヤーとの相性の良さ。例を挙げるなら、かつてノーザンファームの吉田俊介氏が修行していたことでも知られるニール・ブレナン(Niall Brennan)氏など。成功馬がよく出るということは日本人との意思疎通が豊富ということでもあり、次の機会にまた日本人に買ってもらおうと、ちゃんと日本競馬適性のある馬を奨めていることが多い。
続いて、中規模コンサイナー(今回だと5頭上場レベル)の場合、似たタイプの馬ばかりが集まっていることが多い点も覚えておきたい。やはり人間には好みがあるので、ピンフック時に同じようなタイプが集まりがちなのである。これを応用すると、過去に同じコンサイナーから日本に来た馬(赤本のバックナンバーを参照)を見て、どんなタイプである確率が高いかを類推することができる。能力の絶対値はともかく、芝適性や仕上がりの早さなどを予想してみたい。
応用編として、高馬ばかり仕入れているコンサイナーもあれば、安馬を仕入れて利益率を追求しているところもあることを知っておきたい。前者の場合、セリの前半で自分の馬がよく売れても、後半で妥協売り(もともとのリザーブ価格割れでも売ってしまうなど)はしづらい。反対に後者の場合は、前半で十分儲かれば後半妥協しやすい。こうやってセリ全体のストーリーが見えてくるのである。
最後に、今回見つけた穴コンサイナーをひとつ。ブラッドストックマネージメント(Bloodstock Management)というコンサイナーなのだが、仕入れが5万ドル以下の安馬ばかりなのに、調教もそこそこ動くしデキのいい2歳馬が多い。ひょっとしたら数をたくさん仕入れて生き残った少数の馬だけをここへ上場しているのかもしれないが、ちょっと注目してみたいコンサイナーだ。
さて、ではセリ場に行ってきます。帰ってからちょっと結果を加筆する予定。
…………
帰ってきました。やはり日本人購買馬は少なく、たった7頭。このセリではかつてない少なさ。セリ全体は中間〜下位の価格帯に隙がある一方で、30万ドルあたりより上のゾーンにおける競争が激しかった。日本人バイヤーはまじめに細かく馬を見ているので、いい馬を狙う→強いアメリカ人バイヤーと当たる→負ける、というパターンが多い。今回も、あと3頭くらいは落札していてもおかしくなかった。
ちなみに取れた7頭はそれぞれタイプが違い、POGで指名していい馬、いけない馬がはっきりしている。そのあたりの具体的な話は赤本で。
次回の公開は2008年3月13日(木)の予定です
PROFILE
- 須田鷹雄
- 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。大学在学中に別冊宝島「競馬ダントツ読本」でデビュー。以後、競馬雑誌の急増を受けて競馬ライターとしての活動をはじめる。平成6年、JR東日本に就職し、西船橋駅に配属。平成8年、JR東日本を退社し、本格的にライター業をスタートさせる。各種新聞・雑誌に寄稿するほか、テレビ・ラジオにも出演。POG(ペーパーオーナーゲーム)の達人としても知られ、監修を務める「POGの達人攻略ガイド」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書といわれている。主な出演番組にクラシックパーク(グリーンチャンネル)、ドラマチック競馬(北海道文化放送)ほか。「競馬総合チャンネル」や「netkeiba.com」でもコラムを連載中。
