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須田さんのひとりごと

POGファンにとって指名馬選びの際に参考にする要素のひとつが「セレクトセール」。毎年1億、2億の高額な取引が演じられ話題になる一方で、実際に将来走る馬なのか疑わしくなるもの。ということで今回は、現3歳馬におけるセレクトセール高額馬の状況を須田さんがレポート。そこに潜んでいる落とし穴とは!?

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第18回 セレクトセール高額馬に潜む落とし穴とは?

今回は、現在進行中のPOG世代=2005年生まれ世代について、一度書いておかねばと思っていたテーマについて書こうと思う。

そのテーマとは、この世代における「セレクトセール高額馬の丸コケぶり」である。まずは状況を整理しておこう。

2005年(この年はまだ当歳セッションのみ)の取引馬は、最高価格だったダノンマスターズ(牡、父シンボリクリスエス、母マストビーラヴド、美浦・藤沢和雄厩舎)を筆頭に、7頭いる1億円(価格はすべて税込み)以上の馬がすべて、現時点で未勝利か未出走(死亡したアドマイヤテンカも含む)。価格ベスト20(6930万円で同率がいるので21頭)のうち勝ち上がり済は2頭のみで、2頭とも1勝馬。2勝以上馬は価格22位タイのダイワマックワン(牡、父Langfuhr、母コートアウト、美浦・増沢末夫厩舎)、24位アインラクス(牡、父ダンスインザダーク、母スターズインハーアイズ、栗東・池江泰寿厩舎)になってやっと出てくる。

続いて2006年1歳セッション。1億円以上の馬は5頭(うち1頭は未登録抹消)いるが、現状稼いだ賞金はフサイチフウジン(牡、父ウォーエンブレム、母ガゼルロワイヤル、栗東・大久保龍志厩舎)の新馬戦5着=70万円だけ。活躍馬らしい活躍馬は価格8位のノットアローン(牡、父アグネスタキオン、母ソニンク、栗東・橋口弘次郎厩舎)ぐらいで、価格20位以内から勝ち上がりは同馬を含め2頭。むしろ21〜30位ゾーンから6頭と、高確率で勝ち上がり馬が出ている。ちなみに、その6頭のうちの1頭に、東京スポーツ杯2歳Sを勝ったフサイチアソート(牡、父トワイニング、母アーネストデザイア、美浦・岩戸孝樹厩舎)がいる。

POGについて語るよりも、本物の馬主さんを気遣わねばならない状況だ。

なぜこのような状況になったのか。

まずひとつに、購買者がチキンレース状態になり、価格を引き上げすぎたという面がある。

この世代はフサイチの購買が盛んだったうえに、ダノックス、トーセン、山本英俊オーナーなどが入り乱れて狂乱物価となった世代である。その結果、高価格帯が実体以上に目立つ存在になってしまった。1歳セッション取引馬を見れば、「奪い合いのちょっと下」に鉱脈があることは感じられる。

高価格馬については、今年の指名においても、ある程度懐疑的な見方をする必要があるだろう。特にセレクトセールの持込馬は昔から高すぎる。キングカメハメハがすべてをうやむやにしているのだが、トータルの回収率はかなり低い。

もうひとつは、配合のタイミングが結果としてちょっとした「罠」を作ってしまったということだ。

サンデーサイレンス亡きあと、社台スタリオンステーションの暫定エースはアグネスタキオンである。ところがこの世代はセール時に持込馬の注目度が高かったうえに、シンボリクリスエスを筆頭とする、結果論で言えばPOG期間での活躍がふるわない種牡馬に良質な繁殖牝馬が回っていた。

アグネスタキオンの配合相手が悪かったわけではないのだが、晩成寄り・ホームランか三振かというタイプの繁殖牝馬との間に生まれた仔が、セレクトセールでは高くなっていた。一方で、打率勝負の繁殖との間に生まれたデキのいい仔が偶然故障などに泣くケースが目立ち、結果として全体がガタガタになってしまったという印象だ。

この世代はダンスインザダーク産駒が意外に頑張ったりもしているのだが、ダンス産駒の評価が底に近い時期だっただけに、状況を好転させるには至らなかった。

2008年ドラフト組にも似た状況は持ち越されるため、対策を考える必要はある。

ひとつは、母系の軽さにこだわることだろう。サンデーサイレンスは重厚な母系との配合でも成功できたが、それを他の種牡馬もできると考えると失敗する。

もうひとつは、オーナーありき・価格ありきよりも、厩舎ありきで考えることだ。この状況下にあって健闘している橋口弘次郎厩舎を強調したい。

最後の手段として、「セレクトセール組を捨てる」という手もある。この世代の社台グループ生産馬でなにが走っているかといえば、クラブ馬である。クラブ会員の中には「いい馬はセレクトに行って、クラブには来てないんだ」的な被害妄想を抱いている人もいるようだが、セール用とクラブ用の振り分け時点で、すべてを見通すような千里眼はたぶん存在しない。

次回の公開は2008年2月14日(木)の予定です

PROFILE

須田鷹雄
須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。大学在学中に別冊宝島「競馬ダントツ読本」でデビュー。以後、競馬雑誌の急増を受けて競馬ライターとしての活動をはじめる。平成6年、JR東日本に就職し、西船橋駅に配属。平成8年、JR東日本を退社し、本格的にライター業をスタートさせる。各種新聞・雑誌に寄稿するほか、テレビ・ラジオにも出演。POG(ペーパーオーナーゲーム)の達人としても知られ、監修を務める「POGの達人攻略ガイド」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書といわれている。主な出演番組にクラシックパーク(グリーンチャンネル)、ドラマチック競馬(北海道文化放送)ほか。「競馬総合チャンネル」や「netkeiba.com」でもコラムを連載中。

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