須田さんのひとりごと
今年の2歳戦で目につくのが外国産馬の活躍。2勝馬タカラストーン、エーシンフォワード、デビュー戦圧勝のゴスホークケンなど、ひと昔前にPOGで人気のあった米トレーニングセール出身馬が目立つ。毎年セール取材をする須田さんはこの流れをどう見ているのか。
第13回 米トレーニングセールで走る馬を見極めるには?
今回、このタイミングで書き残しておいたほうがいいテーマは…と考えた結果、アメリカのトレーニングセールについて書いておこうと思い立った。
「アメリカのトレーニングセール」、POGの流行り始めた頃にはまぶしい輝きを持っていたその言葉も、ここ数年はほとんどドラフトに影響しなくなっていた。しかし、今年はなかなか調子が良い。
まず基本となる数字として、11月1週目までの2歳馬成績について整理しておくと…。
○中央に籍のついた馬(抹消済み含む)→3.396頭
○デビュー済み馬→1.527頭(全体の45.0%)
◎勝ち上がり馬→294頭(全体の8.7%)
○のべ賞金(中央馬が獲得したもののみ)→4.172.75万円
◎登録馬1頭あたり→122.87万円
◎出走済馬1頭あたり→273.26万円
これらの中にはトレーニングセール組を含めたマル外も入っている。POG人気馬も「そんな馬いたんだ」という馬も含めての平均値が、◎のついた項目である。
一方、今年の米トレーニングセール組はこんな成績。
<ファシグティプトン・コールダー>
購買馬10頭の中からタカラストーン(牡、父Grindstone、母Tropico Cielo、美浦・国枝栄厩舎)とエーシンフォワード(牡、父Forest Wildcat、母Wake Up Kiss、栗東・西園正都厩舎)。ちなみにこの2頭は、現時点でのマル外賞金獲得1、2位。
<バレッツ・マーチ>
購買馬4頭の中からアポロドルチェ(牡、父Officer、母Summertime Val、美浦・堀井雅広厩舎)。
<OBSコールダー>
購買馬2頭の中からゴスホークケン(牡、父Bernstein、母Allthewaybaby、美浦・斎藤誠厩舎)。
<キーンランドエイプリル>
購買馬6頭の中からダノンゴーゴー(牡、父Aldebaran、母Potrinner、栗東・橋口弘次郎厩舎)。
これらの4セールで購買された馬は計22頭。そのうち17頭がすでに登録済みで、13頭が出走済み。勝ち上がりは6頭。
22頭中の6頭は27.3%の勝ち上がり。獲得賞金合計は72.00万円で、22頭で割っても327.27万円。出走13頭で割ると553.85万円。クロフネのような夢を追うのはどうかと思うが、下位を固める存在としてはかなり重宝しそうだ。今のマル外人気なら、獲りたい馬をだいたい獲れるだろう。
問題は、このゾーンを狙っても「ツモリ間違い」があるということだ。私自身、今年のトレーニングセール組については評価ミスをやりまくっている。タカラシャフト(牡、父Mineshaft、母Tomorrows Empress、美浦・国枝栄厩舎)は肢勢が悪すぎると思ったし、アポロドルチェはダート馬だと確信していた。
よくいわれる推理要素として「日本で走った血統を重視」といったものがあるが、それだとタカラストーンは獲れるが、OBSマーチセールで落札された2頭のうちゴスホークケンではなく、3勝を挙げているドラゴンアローの半弟で未登録のTrippi産駒(ちなみに深管が痛くなって遅れているらしい)を獲ってしまった可能性もある。また、POGではなくリアルバイヤーが「活躍馬の下を獲って失敗」という例はいくらでもある。
「調教師自身が選んだ」というのもウリになることがある。今年のOBSマーチセールはその理屈に合うのだが、どの馬とはいえない他セールの馬では今年、「現場にいた調教師が自分の希望馬から乗り換えて失敗」という事例も出ている。ファンが思うほど魔法の相馬眼が存在するわけではなく、馬主にせよ調教師にせよ、そこは手探りなのだ。
とりあえず自分自身の反省点を書いておくと、ここ数年、長所でなく短所を見すぎていたように思う。来年からはもっと強気のチョイスをして、セール取材を結果に繋げたい。
次回の公開は11月22日(木)の予定です
PROFILE
- 須田鷹雄
- 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。大学在学中に別冊宝島「競馬ダントツ読本」でデビュー。以後、競馬雑誌の急増を受けて競馬ライターとしての活動をはじめる。平成6年、JR東日本に就職し、西船橋駅に配属。平成8年、JR東日本を退社し、本格的にライター業をスタートさせる。各種新聞・雑誌に寄稿するほか、テレビ・ラジオにも出演。POG(ペーパーオーナーゲーム)の達人としても知られ、監修を務める「POGの達人攻略ガイド」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書といわれている。主な出演番組にクラシックパーク(グリーンチャンネル)、ドラマチック競馬(北海道文化放送)ほか。「競馬総合チャンネル」や「netkeiba.com」でもコラムを連載中。
