須田さんのひとりごと
良血2歳馬が次々にデビューした9、10月の新馬戦。いつもならこの時期のデビュー組にはGIを賑わす大物がいるのだが、今年は果たしてそのような馬がいたのか。須田さんが気になった馬を挙げてみた。
第12回 海外トレーニングセールから大物誕生の予感
2歳戦も進み、いわゆる「王道デビュー」という時期になってきた。
そこで今回は、本当に王道を歩む馬がデビューしているのか? ということで、9月以降の新馬勝ち馬の中から、私が特に今後期待したい馬を挙げておきたい。
まずはドリームローズ(牝、父サクラバクシンオー、母ビスクドール、栗東・池江泰寿厩舎)。最後方からの豪快な追い込みで勝ったため次走は過剰人気になるかもしれないが、この血統は丸ハズレでなければ一定の水準まで行く確率が高い。馬券を買いたいタイプではないが将来性はあると見る。
2頭目も牝馬からラベ(牝、父ダンスインザダーク、母クイーンリザーブ、栗東・橋口弘次郎厩舎)。この馬に限らず、今年はダンスインザダーク産駒が良く動いている。ただ、過去の傾向を見るとダンス×ミスプロ系の大成は3歳夏以降のケースが多いので、ダービールールの中でどこまで稼げるかは微妙かもしれない。
牡馬ではフローテーション(牡、父スペシャルウィーク、母ダイイチフローネ、栗東・橋口弘次郎厩舎)。緒戦の勝ち方はまずまずといった感じだが、血統にスケール感があるだけに期待が高まる。母の父リアルシャダイということで、いったん負けが込んでもどこかで穴をあけてきそうな馬だ。
まだこれといったクラシック候補が出てきていない状況で、ちょっと目立つ存在になってきたのがダイワカンパニー(牡、父アグネスタキオン、母ヒットザスポット、美浦・松山康久厩舎)。新馬戦では遅い流れを後方から進んだのでどうなることかと思ったが、遅くなりすぎたことが逆に幸いしたかもしれない。距離が延びても、瞬発力勝負になれば血統的にはうまくこなせそう。タフな流れになったときにどれだけやれるかが課題となる。
今年はドラフト時点での人気馬がバタバタと討ち死にしているような状態で、私も胃が痛かったのだが、そんな中でやっと期待通りに勝ち上がってくれたのがダノンインスパイア(牡、父アドマイヤベガ、母ブゼンキャンドル、美浦・加藤征弘厩舎)。加藤征厩舎らしく勝ったあとはすぐ放牧に出されたが、すぐに戻ってくるだろうし、春クラシックに向けて優先的に馬房も回ることだろう。私の推奨馬で既に出走したうち脈がありそうなのはこれくらいなので、なんとか頑張ってもらいたいものである。
外国産馬から2頭。1頭目はゴスホークケン(牡、父Bernstein、母Allthewaybaby、美浦・斎藤誠厩舎)。OBSマーチセールの出身馬で、セールには後に同馬を管理する斎藤誠師も足を運んでいた。同じオーナーが購買した2頭からゴスホークケンを選んだ理由について師は「もう1頭のほうが手堅いタイプではあるんですが、当たったらこちらの方が大きそう」と春に語っていたことを思い出す。それにしても16万ドル(約1900万円)の馬があの勝ちっぷりだから、OBS社のセールはなかなか侮れない。
2頭目は先週勝ち上がったダノンイサオ(牡、父Swain、母Freudenau、栗東・音無秀孝厩舎)。馬名は正直微妙だし新馬戦は超どスローで評価が難しいが、タタソールズブリーズアップセール組で新馬から走る馬というのはかなりの飛距離を出してくる可能性がある。昨年のダノンオーガスタにしても、無事に使えていれば重賞級だったはず。欧州セールの購買馬は日本にからきし合わない馬も多いのだが、購買に当たったノーザンファームは見極めのツボをつかんだように思える。来年もノーザンファームの秋田博章場長がセールに足を運ぶようなら注目したいし、私もバレッツをやめてニューマーケットに行ってみようかと思う。
次回の公開は11月8日(木)の予定です
PROFILE
- 須田鷹雄
- 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。大学在学中に別冊宝島「競馬ダントツ読本」でデビュー。以後、競馬雑誌の急増を受けて競馬ライターとしての活動をはじめる。平成6年、JR東日本に就職し、西船橋駅に配属。平成8年、JR東日本を退社し、本格的にライター業をスタートさせる。各種新聞・雑誌に寄稿するほか、テレビ・ラジオにも出演。POG(ペーパーオーナーゲーム)の達人としても知られ、監修を務める「POGの達人攻略ガイド」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書といわれている。主な出演番組にクラシックパーク(グリーンチャンネル)、ドラマチック競馬(北海道文化放送)ほか。「競馬総合チャンネル」や「netkeiba.com」でもコラムを連載中。
