須田さんのひとりごと
POGファン注目のポルトフィーノは人気に応えたが、その一方で、前評判が高かったにも関わらず敗れた馬も目立った。絶対的指標であったSS産駒がいなくなって2年目、早期デビュー馬に対する注目や期待は以前に比べ高くなっているが、指名に関しては神経質になる必要はないようだ。
第3回 前評判の高い早期デビュー馬を指名するリスクの高さ
1週目の新馬戦が終わった段階でこの原稿を書いている。
評判馬ではポルトフィーノ(牝、父クロフネ、母エアグルーヴ、栗東・角居勝彦厩舎)が人気に応えて圧勝したものの、ワイルドエキサイト(牝、父ダンスインザダーク、母ソロシンガー、栗東・山内研二厩舎)やマイネアルデュール(牝、父アドマイヤコジーン、母コスモハーティネス、美浦・相沢郁厩舎)、マイネベクルックス(牝、父アグネスタキオン、母マイネミモーゼ、美浦・堀井雅弘厩舎)といった1番人気馬たちはその人気を裏切ることとなった。
もちろん、ポルトフィーノの将来が保証されているわけではないし、人気で負けた馬たちがこれで終わりというわけではない。しかし、毎年序盤の新馬戦が終わってみると、「直前期の評判もそうアテにはならない」ということをしみじみと思う。
どうも世間には2歳馬が本物かそうでないかをデビュー前、特にドラフト前に見抜く千里眼があると思っている人が多いようだ。あるいは、当たりとハズレを分別できる「真の裏情報」があるという世界観の人もいるようである。
しかし、だ。仮に千里眼や裏情報があるならば、新馬戦の馬券でドカンと勝負ができるということになるではないか。そうでないのは、結局必勝法は無いということによる。ポルトフィーノが勝った後に同馬を語るのと、ドラフト前に予想するのはまったくの別物であって、両者を混同してはいけないと思う。
今回はこんな調査をしてみた。
1997〜2006年の10年間に、POG期間の重賞を勝った馬は289頭いる。そのうち、2歳6〜7月という、POGで言うところの早期デビューを果たしたのは80頭だ。
この80頭のうち、出たとこ勝ちを決めた馬は34頭。1番人気だった馬は16頭、2番人気は15頭である。
結果の面でも人気の面でも、80頭全体に占める割合が意外に低いと感じられることだろう。これを逆に考えると、早期デビュー馬の指名はあまりナーバスになることなく、「獲れる馬を獲る」ということでいいのではないかと思うのだ。
ポルトフィーノを指名するにはドラ1が必須だったろうが、そこで無理をするならば、2005年セレクトセールの高馬(当歳市場・落札額6500万円)であるダイワマックワン(父Langfuhr、母コートアウト、美浦・増沢末夫厩舎)でいいやという判断もある。マイネアルデュールのようにドラフト前に人気が急上昇した馬がいたとしたら、仮にそれが前々から狙っていた馬であったとしても、断念して別な馬に行くという戦略もあるはずだ。
早期デビュー馬に関する千里眼や裏情報を求めて右往左往するよりは、人気の集中した馬を避けて、そのぶん秋デビュー組に注力するべきだというのが私の考え方である。
次回の公開は7月5日(木)の予定です
PROFILE
- 須田鷹雄
- 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。大学在学中に別冊宝島「競馬ダントツ読本」でデビュー。以後、競馬雑誌の急増を受けて競馬ライターとしての活動をはじめる。平成6年、JR東日本に就職し、西船橋駅に配属。平成8年、JR東日本を退社し、本格的にライター業をスタートさせる。各種新聞・雑誌に寄稿するほか、テレビ・ラジオにも出演。POG(ペーパーオーナーゲーム)の達人としても知られ、監修を務める「POGの達人攻略ガイド」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書といわれている。主な出演番組にクラシックパーク(グリーンチャンネル)、ドラマチック競馬(北海道文化放送)ほか。「競馬総合チャンネル」や「netkeiba.com」でもコラムを連載中。
