須田さんのひとりごと
良血馬や有力馬の入厩時期といえば秋口が定番だったが、今年はちょっと違うらしい。話題の馬を数多く抱える厩舎ほど、早期デビューを目指して、続々と入厩させているのだとか。その理由とは? みんなが気になる社台系や藤沢和雄厩舎の情報を須田鷹雄さんがお伝えする。
第1回 早期デビューを目指す話題の良血馬が続々と入厩
限られた字数でなにを書くべきか悩むところだが、POGでの実効性を考えると関西馬かつ社台グループの生産育成馬にこだわるべきところだろう。
赤本制作時と比べて誤算だったのは、角居勝彦厩舎の中に使い出しのやたらと早い馬が出てきたことだ。ポルトフィーノ(牝、父:クロフネ、母:エアグルーヴ)はもともと早期デビューとの話だったが、トールポピー(牝、父:ジャングルポケット、母:アドマイヤサンデー)も阪神デビューとのことで、もしこのあたりが早々にオープンに上がると、同厩舎の出遅れ組は馬房の陣取り合戦の観点からしんどくなる。
もちろん、早期デビューで勝ちそびれると今度は自分がピンチになるわけだが、先手を取ったほうが相対的に有利。その点、角居厩舎に限らず繁盛している厩舎では仕上がり度合いを重視しなくてはならない。角居厩舎でいえばブーケフレグランス(牝、父:ダンスインザダーク、母:スカーレットブーケ)やプライドエンブレム(牡、父:ウォーエンブレム、母:ポップス)あたりはドキドキだ。
藤沢和雄厩舎も同様だが、人気になっているマル外2頭ではスパークキャンドル(牡、父:A.P.Indy、母:Serena’s Song)の方を取ってカジノドライヴ(牡、父:Mineshaft、母:Better than Honour)を切ってみたい。理由を聞かれたら「評判」としか言いようがないが…。同厩舎はどの馬も評判になるが、遅い馬は遅いと思う。意外だったのはダノンマスターズ(牡、父:シンボリクリスエス、母:マストビーラヴド)の早期入厩で、4月に見た時にはこのタイミングになるとは思わなかった。こういう「遅いと見せかけて早い」というパターンは、一般論としては諸刃の剣なのだが…。
なお、同厩舎予定だった馬では、ルミナスハッピー(牝、父:アグネスタキオン、母:リアリーハッピー)が右の飛節を傷めて抹消の方向なのでご注意を。また、ジャングルビジット(牡、父:ジャングルポケット、母:レディブロンド)は裂蹄でウォーキングマシーンまで調整ペースが落ちているが、こちらは大ごとではなく、期間内のデビューは十分可能だ。
個人的なフェイバリット厩舎として忘れず書いておきたいのが橋口弘次郎厩舎。わりと裏の無いコメントをする調教師なので赤本に名前の挙がっているところを攻めればいいと思うが、私が推しているラヴファンタジスタ(牡、父:ファルブラヴ、母:アグネスミネルバ)は出てこなかったのよね…。(厩舎にとっては)新しいオーナーの馬なので、被取材対象から外したと解釈しているのだが。赤本に出た組ではマンボパートナー(牡、父:Kingmambo、母:Dance Partner)を推したい。寝違いの影響が長引いて調整過程は遅くなったが、この血統は出遅れてもダービー時期までに帳尻が合う。
ロザリオ(牡、父:ジャングルポケット、母:ローザネイ)も脚元と相談しながら進めているようだし、マドレボニータ(牝、父:ジャングルポケット 母:ツィンクルブライド)はこれもパンとしない状況。フォーマルモード(牡、父:アグネスタキオン、母:クイーンモード)は繋ぎがかなり立っているうえに大型……と、どれに行ってもリスクはある。ならばマンボパートナーでいいだろ。
最後にアドマイヤ軍団系。アドマイヤテンカ(牡、父:アグネスタキオン、母:ビワハイジ)は当たりなのかハズレなのかみんな噂しているところだが、正直やってみないと分からん。ノーザンファームにいるうちは気性の悪いところを見せていたアドマイヤオーラよりは低リスクのように思えるのだが。馬体は、上より馬格があるかわり、アピール度という点では上より多少割引かも。
馬っぷりだけならアドマイヤワイド(牝、父:アドマイヤベガ、母:フェアディール)は自信をもって推奨できる。兄のミッキーダンディが骨折で出てこなかったので嫌われているが、まったく関係ない話だ。
奥様(近藤英子氏)の馬ではスカーレット(牝、父:シンボリクリスエス、母:グレースアドマイヤ)が人気だろうが、調整が早い組ではない。むしろ穴馬として、プロフェッショナル(牡、父:フジキセキ、母:アドマイヤライト)を下位でいってみたい。この馬に限らず、今年のフジキセキ産駒には何頭か面白い馬がおり、ドラフト上位で強く推せるまでの馬はいないが、脇を固める存在として重宝するのではないだろうか。
次回の公開は6月7日(木)の予定です
PROFILE
- 須田鷹雄
- 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。大学在学中に別冊宝島「競馬ダントツ読本」でデビュー。以後、競馬雑誌の急増を受けて競馬ライターとしての活動をはじめる。平成6年、JR東日本に就職し、西船橋駅に配属。平成8年、JR東日本を退社し、本格的にライター業をスタートさせる。各種新聞・雑誌に寄稿するほか、テレビ・ラジオにも出演。POG(ペーパーオーナーゲーム)の達人としても知られ、監修を務める「POGの達人攻略ガイド」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書といわれている。主な出演番組にクラシックパーク(グリーンチャンネル)、ドラマチック競馬(北海道文化放送)ほか。「競馬総合チャンネル」や「netkeiba.com」でもコラムを連載中。
